

はたらきすぐる氏の憂鬱 ストーリー
はたらきすぐる氏(35歳・男性、はたらきさんの甥)は、最近、会社を辞めるべきか悩んでいる。
上司や同僚などには恵まれていて、人とのつながりという点では非常に満足しているものの、新しいキャリアを選択することも考えてきている。
人とのつながりでこのまま残るか、新しいキャリアを選択すべきか。はたらきさんは、甥からこの相談を受けた。
すぐるの背景
すぐるは、妻の益代(ますよ)と3歳の長男の杉太郎と3人で暮らすサラリーマンである。
大阪の日系企業P社に勤務して10年目であり、給与は年収600万程度、有給休暇も自由に取得できることから、勤務条件には満足している。
それ以上に、すぐるはP社に対して強い思い入れがある。
ある時すぐるは会社の上層部が不正を行っていることに気づいた。
そのことを信じてくれたのは直属の上司であった全澤だけだった。
全澤は会社の不正一掃に尽力し、その部下としてすぐるも奔走してきた過去がある。
こうした出来事から、全澤に対する恩義、一緒に戦ってきた仲間との信頼関係は、他では得られないかけがえのない財産であると感じている。
一方で、すぐるは、P社でキャリアを続けることについて悩んでいる。
すぐるには夢がある。しかし、その夢をP社で実現させるためには事業責任者になる必要があるが、会社の制度上、役職に就くことができるのは最低でもあと10年はかかるのだ。
そこに突如、転機が訪れた。
ある日、ヘッドハンティングのメールが舞い込んだのである。
メールを一目して驚いた。そこに書かれていた事業内容は、まさに実現したい夢そのものだったのである。
エージェントの紹介で先方の社長に話を聞いたところすぐに意気投合。程なくして破格のオファーが提示された。
なんと、夢だった事業の担当役員としてすぐるを迎え入れる用意があるという。
転職してしまうと勤務地は東京になる。
信頼する全澤と働くこともなくなり、P社の仲間たちとの日々も失うことになるだろう。
しかし、生涯の夢であった事業に関わる絶好のチャンスは今後二度と出てこないだろうことは間違いない。
すぐるの心は揺れていた…。